「夢みる校長先生~子どもファーストな公立学校の作り方~」というドキュメンタリー映画を5月半ばに観てきました。試写会のようなお披露目上映だったので、「夏に劇場公開されるときはもしかしたら少し変わってるかも」とオオタヴィン監督。
「夢みる小学校」という映画が全国あちこちで上映されてから1年以上たちますが、今回はそのスピンオフ映画ということで、6つの公立小中学校が取り上げられています。
伊那小の福田元校長や桜ケ丘中の西郷元校長はテレビでも取り上げられていたり、本も出版されていたりするので有名ですが、他にも、武蔵野市立、茅ケ崎市立、横浜市立、日光市立の校長先生たちが登場していて、その思考と実践がめちゃくちゃ面白くて、奥深い。
しかも、これだけの校長が関東に集結しているなんて!
「夢みる小学校」もそうですが、映像だけではどうしてもイメージ理解になってしまうので、最近住田校長と國分校長の本を読み始めました。
住田校長は、映画の中では一番お気楽校長のようにみえるけど、本を読んだら、練り上げられた持続可能な学校運営と、教育論と、愛情深さに驚きます。
映画で映し出されてる姿はほんの一部と思ったほうがいいです(笑)
きのくにこどもの村学園を設立なさった堀先生の実践も、公立学校の校長先生たちの実践も、決して一朝一夕には成り立っていないってことが本を読むとよくわかります。
共通するのは、だれも忖度しない、爽快さ。
だけど、トップダウンでない、柔軟な対話力。
自分の意見を大事にしながら、相手を大事にするということが板についている人たち。
相当揉まれてないとここにはたどり着けないだろうなということも感じます。
柴田愛子さんの講演ぶりに、これはほんとおもしろい!って思える映画に出会えました。
ためになるとか、感動するとか、心揺さぶられるとかはありますけど、
「なにこの人たち!おもしろい!会いたい!」っていうわくわく感が先にくるものってなかなか出会わなかったりするんですよね。
これは私の「わくわく感覚」が非常に限られていて反応しにくいせいもありますが…
「心が跳ねる感じ」というのは、ほんとに久しぶりでした。
この日、上映会と5人の校長先生、元文科省事務次官の前川さんによる爆笑のトークショーもあったのですが、終了後、西郷先生にお声かけして記念撮影までしてもらったくらいですから、私の興奮度合いが伝わるでしょうか(笑)
「いつかさとたねの子供たちにも会いに来てもらいたい」とお伝えし、名刺まで交換させてもらいました。
その流れで、一緒に映画を観に行ったさとたね母ちゃんのお一人、重い腰の私と違って心身軽やかなかおちゃん主催で、6/11限定配信のサテライト上映をします。
かおちゃん再びこの機会をありがと!という気持ちとこの映画ならと思えたこともありがたい。
だけどね、勘違いはしないでほしい。
目に見えるものは、ほんの一部。
校則ゼロ、宿題なし、通知表なし。
言葉は奇抜でわかりやすいかもしれないけど、校長だけじゃなく、現場にいる人たちの中にどれだけの対話と練りと覚悟があったか。
その過程にこそ着目すべきで。
相手(学校)に、ないものを求めることは、誰だって、いくらだってできる。
でも、それって、結局、今不満を抱いている相手がやってることと変わらないんじゃないかな?
とはいえ、今の先生たちの大変さに共感はしても、
多忙だから仕方ないよね、と大人の事情をのんで擁護するつもりもない。
結果大人の都合で、子供にひずみが広がり続けることがあっていいとは思わないから。
だから、私が目の前の子供の声を聴き、どう共に生きるのかを問う。
おかしいなって思ったら、勝手に思い込まないで、勝手に思ってること引っ込めないで、学校の先生に聞いたり、伝えたり、子供のこと一緒に考えたりしたらいい。
自分に何ができるか、を問える大人が増えれば、もうそこから変わっていくと思うんです。
自分に気づきを。
住田校長も言っていました。
「相手は変わらない。変えられるのは、自分だけ。」
私は私の心が躍って、目のまえの我が子に、子供たちに私がどう寄り添うか、再考する機会をもらえたから、上映をしたいと思ったんです。
学校を変えたい、相手を変えたいと思ったわけじゃないのよね。
まあ日々思うことはありますけど。
自分で問いを立てられ、自分で考えられる大人を増やしたい。
共に生きる、共に考えるという前提で。
心に残ったシーンを挙げるとすると、この2つ。
「夢みる小学校」を観た小学6年生の女の子が、自分の学校で上映会ができるようプレゼン資料まで作って上映会企画の申し入れを校長にした際に、「一人の生徒のためにやれない」と断られた。
でも、それからも彼女はあきらめることを選ばなかった。
動かずにはいられないほどに、本人の心が揺さぶられたということでしょう。
次に何ができるかを考えた。そして、別の大人たちの手を借りながら上映会を開いた。
その子は、普段から手を挙げたり、人前でものおじしない積極的なタイプではないわけ。
すごくおとなしい子で、上映会をやりたいと言い出したのもある意味奇跡のようにも見えた。
うちの子の雰囲気とちょっと似てたのよね。
でも、子供には子供なりの思いがあって、壁にぶつかった時、自分を信じて自分を変化させてく力を発揮したりするんですよね。
滞ってるように見える時こそ、実は練られてる時間で大事だったりする。
そして上映後、西郷先生が、
「逆です。たった一人の子を大切にできないのにすべての子を大切にするなんてできないんですよ」と話していたのが印象的でした。
日光市立足尾中学の原口校長は、コロナ禍で思考停止状態の世の中で、自ら感染症の文献を調べ上げ、様々な学識者に直接問合せし、過剰な忖度なく、独自の衛生管理マニュアルを作り、必要ない場面でのマスク着用を強いることはなかった。
実践の裏側に、こんな思いがあった。
「世の中が、過剰なまでの感染対策、自分で調べることもせず忖度に一気に傾いていった時、
いちばん子供たちの自己肯定感が育っていかないといけない時期に、
あたかも、
きみが菌を持っていて、
同居するお祖母ちゃんや家族を殺すかもしれない、
きみは汚れている、
ということを子供たちの意識下に植え付けるという、自己肯定感を育てるとは全く逆のことをやっていることがぼくには絶えられなかった。」
あの時、この矛盾に気づいていた大人はどれだけいただろう、
子供が育つ過程の何にひずみを落としていったのかに気づけた大人はどれだけいたのだろう、
と思います。
自分自身に問いを立てられる大人が増えること。
ここに出てくる大人が特別なのでなく、誰でもできることから。
さとのたねで行うサテライト上映は関係者のみですが、6/11の限定配信は、ネット環境、パソコンがあればどこでも見られます。
ぜひ、検索してみてください。
【6/11限定配信】
オオタヴィン主宰「まほろばスタジオ」 (mahoroba-mirai.com)
【映画の詳細・予告編】
夢みる校長先生 子どもファーストな公立学校の作り方|まほろばスタジオ (dreaming-teacher.jp)
さとのたね
代表 岸本 梓